大学入学共通テスト(数学) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問5 (数学Ⅰ・数学A(第1問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(数学)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問5(数学Ⅰ・数学A(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

以下( ク )に当てはまるものを選べ。

cを実数とし、xの方程式

¦3x−3c+1¦=(3−√3)x−1  ・・・・・・①

を考える。

(1)x≧c−(1/3)のとき、①は

3x−3c+1=(3−√3)x−1  ・・・・・・②

となる。②を満たすxは

x=√( ア )c−{( イ )√3}/3  ・・・・・・③

となる。③がx≧c−(1/3)を満たすようなcの値の範囲は( ウ )である。

また、x<c−(1/3)のとき、①は

−3x+3c−1=(3−√3)x−1  ・・・・・・④

となる。④を満たすxは

x=[{( エ )+√3}/( オカ )]c  ・・・・・・⑤

となる。⑤がx<c−(1/3)を満たすようなcの値の範囲は( キ )である。

(2)①が異なる二つの解をもつための必要十分条件は( ク )であり、ただ一つの解をもつための必要十分条件は( ケ )である。

さらに、①が解をもたないための必要十分条件は( コ )である。
  • c>(3−√3)/6
  • c>(5+√3)/6
  • c≧(7−3√3)/6
  • c=(3−√3)/6
  • c=(5+√3)/6
  • c=(7−3√3)/6
  • c≦(3−√3)/6
  • c<(5+√3)/6
  • c<(7−3√3)/6

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この過去問の解説 (2件)

01

解答 ク: c > (5 + √3)/6

 

解説

クケコをまとめて解説します。

 

解法1:計算で求める解法

ア~キの答えより、情報を整理すると、

c ≧ (5 + √3)/6 のとき x = √3 c - (2√3/3) は①の解となる

c > (5 + √3)/6 のとき x =  (6 + √3)c/11 は①の解となる

とまとめられます(解説はここでは省略)。

 

参考: もし「≧」と「>」が混在していることによって混乱してしまいそうな場合は、

「c ≧ (5 + √3)/6」を「c > (5 + √3)/6 または c = (5 + √3)/6」

と言い換えて考えてみましょう。

 

整理した情報から、

c > (5 + √3)/6 のときは x = √3 c - (2√3/3) も x =  (6 + √3)c/11 も解になる

c = (5 + √3)/6 のときは x = √3 c - (2√3/3) の方だけが解になる

c < (5 + √3)/6 のときは どちらも解にならない

となり、このことより、

「①は異なる2解をもつ」⇔「c > (5 + √3)/6」…(クの答え)

「①はただ1つ解をもつ」⇔「c = (5 + √3)/6」…(ケの答え)

「①は解をもたない」⇔「c < (5 + √3)/6」…(コの答え)

であると見当がつけられます。

 

あくまでこの時点では見当がついただけであって、正確に考えるには、

c > (5 + √3)/6 の範囲で √3 c - (2√3/3) ≠  (6 + √3)c/11

であることを確認する必要があります。

cについての1次方程式 √3 c - (2√3/3) =  (6 + √3)c/11

を解いて実際に確認すると、

やや面倒な計算の末に c = (5 + √3)/6 が得られるため、

x = √3 c - (2√3/3) と x =  (6 + √3)c/11 が

一致するようなcが c > (5 + √3)/6 の範囲には

存在しないことがわかります。しかし、cが十分に大きい範囲では

解が必ず2つあることは計算しなくても直観的に理解できるはずなので、

見当をつけた時点で解答してしまってよいでしょう。

 

よって答えは

ク: c > (5 + √3)/6 ケ: c = (5 + √3)/6 コ: c < (5 + √3)/6

となります。

 

 

解法2:グラフを利用する解法

今考えているxの方程式

| 3x-3c+1 |=(3-√3)x-1 …①

の解の個数は、

y = |3x-3c+1|  と y = (3-√3)x-1 のグラフの共有点の個数に対応します。

 

それぞれのグラフの形状を考えてみます(下の図を参照)。

V字型のグラフの方が直線よりも傾きが急峻であることに注意して、図より、

「共有点が2個」⇔「c - (1/3) > (3 + √3)/6」⇔「c > (5 + √3)/6」…(クの答え)

「共有点が1個」⇔「c - (1/3) = (3 + √3)/6」⇔「c = (5 + √3)/6」…(ケの答え)

「共有点が0個」⇔「c - (1/3) < (3 + √3)/6」⇔「c < (5 + √3)/6」…(コの答え)

となります。

 

 

補足: グラフの説明

y = |3x-3c+1| のグラフは、常にy≧0となるようなV字型のグラフであり、

x ≦ c - (1/3) のとき (c - (1/3), 0)を通る傾き-3の直線

x ≧ c - (1/3) のとき (c - (1/3), 0)を通る傾き3の直線

となっています。

 

一方、y =(3-√3)x-1のグラフは、

 ((3 + √3)/6, 0) を通る傾き(3-√3)の直線です。

ここで、 y = (3-√3)x-1 とx軸の交点は以下のようにして求めました。

0 = (3-√3)x-1

(3-√3)x = 1 

x = 1 /(3-√3)

分母と分子に(3+√3)をかけて有理化して x =(3 + √3)/6

選択肢2. c>(5+√3)/6

この選択肢が答えとなります。

この選択肢では、グラフの共有点が2つになります。

「共有点が2個」⇔「c - (1/3) > (3 + √3)/6」⇔「c > (5 + √3)/6」

選択肢5. c=(5+√3)/6

誤答選択肢です。

この選択肢では、グラフの共有点が1個になります。

「共有点が1個」⇔「c - (1/3) = (3 + √3)/6」⇔「c = (5 + √3)/6」

選択肢8. c<(5+√3)/6

誤答選択肢です。

この選択肢では、グラフの共有点が0個になります。

「共有点が0個」⇔「c - (1/3) < (3 + √3)/6」⇔「c < (5 + √3)/6」

参考になった数0

02

ここまでの流れをまとめると、

cが(ウ)を満たすとき、x≧c−(1/3)でxは解を持ちます。

cが(キ)を満たすとき、x<c−(1/3)でxは解を持ちます。

 

よって、①が異なる2つの解を持つための条件は、(ウ)、(キ)をともに満たすときです。

つまり、

(ウ):c≧(5+√3)/6

(キ):c>(5+√3)/6

をともにみたします。

 

そのようなcの範囲は、c>(5+√3)/6となります。

 

選択肢1. c>(3−√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢2. c>(5+√3)/6

c>(5+√3)/6より正解です。

選択肢3. c≧(7−3√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢4. c=(3−√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢5. c=(5+√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢6. c=(7−3√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢7. c≦(3−√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢8. c<(5+√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

選択肢9. c<(7−3√3)/6

c>(5+√3)/6より誤りです。

まとめ

(ウ)と(キ)がそれぞれの範囲で、解を持つ条件であったということを忘れないようにしましょう。

値の大小の比較は、必要があれば数直線などを使って可視化すると、間違えを減らすことができます。

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